生体内では、分子が高次元かつ階層的に配列し、幅広い時間スケールで連動することで、細胞内シグナル伝達や代謝などの短時間反応から発生や老化などの長時間反応にわたる生命反応システムがシームレスに実現されています。生体分子の変性や生体組織の損傷は、この連動システムを破綻させ、様々な疾患を引き起こします。私達は、生体組織を構成する分子の配列・集積構造とダイナミクスを模倣した材料が、破綻した生体内生命反応システムを修復し、生体が本来持つ再生能力を賦活化させることで、疾患治療に役立つと考えます。その実現には、「生体内環境」で生体分子と同様の集積構造やダイナミクスを持つ合成機能分子を「設計（計算科学）」し、「開発（有機化学）・評価（分析化学）」し、「適合化（生物学）」する学術基盤が求められます。その基盤構築に向け、本研究会では、「生体内をフィールドとする物理学、化学、生物学の融合」を目指し、関連する研究を第一線で行っている研究者を招いて議論いたします。